長期特例の人

 某有名企業の工場で15歳から46年間働き続けた男性。「61歳になったし、そろそろ辞めようかどうしようか迷っている。」との相談。長期加入者の特例で、60歳から定額部分が貰え、配偶者加給もつくはずなのに、働いているせいで年金は支給停止になっている。この会社では再雇用も正社員と同様で、社会保険加入が義務付けられている。もっとも、新規入社に関しては、非正規社員しか採らないみたいだが。 相談者の年金の月額を示し、これと今の給料とどちらを選ぶかと聞けば、やはり今の給料との答え。ならば、あと⒈・2年会社がいてくれと言うなら、働いてもいいんじゃないのと、私も即答。もっとも「こんなに長く働いて、もう疲れたと感じたらやめたほうがいいかも」とも付け加えた。働くことは苦にならない、元気だから家にいる気にもならない等々、優等生のご返事。こういう人はまれです。
 「年金は出ないけど、この年金が社会福祉に貢献してると思ってください。」なんて、言ったら、「そうだね。元気だから、そういうこともできるんだよね。」と言い残して帰っていった。
 俺の支払った分をなぜ返さないのかと、怒鳴り込んでくる人もいると言うのに、この相談者は、本当に善意の人でした。