遺族年金

 旧法の人たちは、遺族年金もかなり高額になる人が多いと、前に書いた気もするが、今、在職中に亡くなった人の遺族年金の相談は、かなり辛いことが多い。電車に飛び込んだり、縊死したり、車に排気ガスを引き込んだりと、死亡検案書には、さまざまな死因が書かれ、残された家族に重圧を与えている。単に、年金が入れば済むというものでなく、死を受け入れられない遺族の悲しみを、少しでも癒してあげたいと思うが、せいぜいが思いのたけを語らせて、泣かせてあげるだけ。でも「泣く場所もなかったの」と言って帰っていく人もいたから、泣けば少しは気が晴れるのかと思っている。
 こんな年金相談のどこが気に入ったのか、「俺にもやらせてよ」という人が現れた。自分の年金の手続きに来た、現在失業中の男性。人と話すのは得意中の得意。どんな人からも嫌われたことはないよと自分を売り込む。とても60歳にはみえない、ロックシンガーの様な風体。アメリカ人の血が4分の1入っているそうだが、なるほどこの売り込み方は、日本人仕様ではない。
 職業選択は自由だし、やりたければやってもいいが、この人、年金のことをどれだけ知っているのだろうか。「まずはお勉強をして、社労士かFPかの資格を取ってもらう野が有利ですね」と諭してお帰りいただく。なかなかユニークな人材だが、さまざまな相談者が、彼のユニークさをどこまで受け入れてくれるかも心配。外国との通算年金制度も整ってきて、外国滞在中の年金についての相談もあるから、やりようによっては使えるかもしれないが、やはり知識は最低限必要です。