受給資格

 年金の受給資格は、納付期間・免除期間・カラ期間を合わせて300月なければならない。このカラ期間は、ほとんど61年4月以前の期間に限られた制度だから、昭和41年4月以降に生まれた人には関係のない期間。社会保険事務所が勝手に未納期間を免除期間に変えたのは、変えてもらった人にとってはありがたい話だったのだが、そのことで受給資格が得られたり、まったく保険料を払っていない期間について国から給付を受けられたりするわけで、まともに払っている人間が損をするような気になるから、あれほどのバッシングを受けたのだろうか。納付率を上げるための作戦にしては、国の財政へのつけは大きいと思うのだが・・・
 この受給資格を満たしていない62歳の男性。20年勤めた会社が、社会保険加入をやめてしまったために起きた悲劇。もっとも国民年金に加入すればよかったのだが。
 60歳をすぎていると、国民年金は任意加入。免除もされないし、未納になれば、もう終わり。それでも歳をとれば、年金のありがたさがわかる。70歳なまでの8年では、彼の受給資格には足りない。奥さんも厚生年金に入っているので、第3号にできる期間があればいいのだが、会社に勤務していた以上それもできない。第3号になれるかどうかは、健康保険の扶養に入っていたかどうかがポイント。健康保険は、国民健康保険に入っていたというのでは無理。あと2年、あと2年・・・と念じるうちに見つけた大学生だった期間。当時の大学生は、任意加入だったから、カラ期間になるのだ。
 翌日、彼からお礼の電話。大学に出してもらう書類は、卒業証明でいいでしょうかと聞いてきた。在学期間の明記された証明書であればいいと答える。書類がきたらすぐにもって行きますと、弾んだ声。思わず「ハイ」と返事をしたが、この人はあと8年払い続けなければ受給権は得られないのだ。いまから、卒業証明書をとっても使い道がないのだ。そのことを改めてつたえなければ。