老後の生活保障

 ご主人の定年を控えて、自分の精神疾患障害年金がほしいという女性。まだ息子の学費もかかるので、障害年金を貰って生活費の足しにと考えた様子。でもずっと第3号の人だから、もらえるのは基礎年金の1級2級のみ。自力でやってきて、自分の病歴を細かく話せるような状態では、なかなか難しいと思う。それほどの違和感もなく話せるし、話しながら笑顔も見せる。表情に乏しいといっても本人が申し立てるほどのものとも思えない。ただ、本人にしかわからない辛さもあるから、1時間ほど話を聞いて、事後重症ということで初診日の確認と現在の病院での診断書を渡す。そろったらまた来てもらい、書類の内容を見て判断することにした。
 年金は、確かに生活保障だけれど、申請しさえすればもらえると言うものではない。ことに障害は常時介護・随時介護の状態が前提だから、判断が難しい。昔、本人の申し立てどおりか確かめに社会保険事務所の職員が、自宅での様子をこっそり見に行ったと言う話も聞いた。ちなみにそのご本人は元気に農作業をしていたそうで、結局嘘がばれてもらえなかったと言う話。でもこのごろは精神疾患が対象になったので、厄介だ。若年者のうつ病はもともとルーズな人間が規律のある社会の中でついていけずにうつ病になると言う新聞記事。それなら、やる気のなさや自堕落さは、本来の性格で、病気に起因するものではないことになる。
 病気そのものと、病的な性格とは、あきらかに似て非なるものだが、判断基準があいまいで、医者と本人の申し立ての文才ひとつにかかってくるのだろうか。