在職老齢年金の話

 6月にボーナスをもらったら、年金証書に記載された支給停止額より多い金額が支給停止になるという変更通知が来たといって慌てて飛び込んできた人がいた。年金証書はあくまで、60歳時の計算で、そのときの計算が正解というものではない。賞与の時期によっては、計算時に冬の分しか入らないで計算されてしまうこともある。今回のケースがそれで、昨年の冬の分とこの夏の分を合わせて再計算して変更通知が出されたのだ。こんな金額じゃ働く意味がない。と言うが、再雇用されただけましという見方もできるし・・・もっともそんな話はしないけど。
 今回のケースでは、その人の年上の奥さんが、20年以上の厚生年金受給者で、配偶者加給を貰っていたのが、ご主人が年金を貰うようになったために加給も消えてしまい、事前の予測と大幅に金額が変わってしまったので、余計ショックが大きかった。そういうシステムがあるのだから、これはいかんともしがたい。これでは働く意欲がうせるというその人に、「そうですね。新聞に投書するとか、もっと声を大きくして主張したら堂でしょうか」と同調したが、「そんなことしても変わるもんじゃないし」と弱気になってしまった。
 自分のかけた保険料が、なぜもらえないのかと怒る人もいるが、「あなたの払った保険料は、あなたのお父さんやお母さんの年金になったのですよ」と、いいたい。積み立て方式にしなければ、いずれ年金は破綻すると、20年以上前から言われてきたのに、それをしてこなかった行政の責任は大きい。親の面倒を見るのが日本の美徳だからと、賦課方式を続けさせようとした政府の責任も大きい。だけど、そういう政府を作ってきたのが私たちだから、文句を言うところもないのだ。