女性の年金

 女性の年金は少額の人が多い。働く期間も短いし、給料も安いから。専業主婦は、カラ期間を使ってもらう人が多い。当然、満額なんて出ない。たいていは、ご主人がついてきて、ご主人が聞いて、ひどいときには、ご主人が自分の口座を記入する。年金は個人のもの、と言う基本的な感覚が抜けている人もいる。時たま自分の年金をもっている(第3号の年金は、自腹切ってないから、自分の年金とはいえない)人がいると、頭を下げたくなってしまう。
 それでも、配偶者がいて年金と言うお小遣いがもらえる人はいい。あと26月足りず、厚生年金の脱退手当金を請求したいという女性。生活保護を受け、役所のほうからせっつかれてやってきた。自治体もお金を出したくないから、国から出してもらえるものは、何でもとろうと言う魂胆。生きる気力も失いかけて「生きてたってなんもいいことない」なんていう女性に、別れた亭主のことを聞くのはつらい。別れた男との結婚期間が、カラ期間になって、年金が受給できる場合もあるのだ。でも、それを証明するには、別れた男の戸籍謄本が必要になる。「どこでどうしてるんだか、知らないよ」と言う女性に、それをとってくれとはいいにくい。それでも何とかしてあげなければ。どうせ「年金貰ったって、全部役所が持っていっちゃ生んだから」と気乗りしない彼女を、どう説得するか、年金おばさんの苦悩は続く。
 まったく、年金は履歴書です。