男女差別か、年齢差別か

2.3ヶ月前だったか、群馬大学医学部の社会人入試で成績がよかったのに不合格になった女性が大学を訴えていたけれど、あれはその後どうなったのかな。55歳の女性が入学試験でいい成績をとった、その努力に敬意が払われないのはなぜなのか。一人前の医者になるのに10年かかるのだから、55歳では年をとりすぎている、みたいなことを投書していた35歳の医師もいたけど、平均寿命が伸びていく中で、彼女があと30年現役医師を続けられるなら、それは問題にならない。日野原さんみたいな高齢の名医もいるのだし。
日本国憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。」これが、彼女の訴えの拠り所だろうけど、これに対して、たしか、大学側は面接時の態度がよくなかったから不合格にしたといっていた。だけど、私ならこの理由のほうが傷つく。人格否定に等しいよね。多分大学は、男女差別や年齢差別では、世間の評判を落とすと思って、個人的な資質に原因を求めたのだろうけど、こういうことをマスコミに言う事自体、見識を疑う。これって名誉毀損とか個人情報の守秘義務違反とかで訴えていいんじゃないだろうか。
それにしても、こういう言い逃れみたいなの多いよね。前述の憲法14条に対応して労働基準法第4条に「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的扱いをしてはならない」とあるけど、これは、性別以外の理由で賃金差別することは許されるということ。そして賃金以外の差別もこの条文に関しては、許されることになる。職務が違えば賃金が変わるのは当たり前。では、その職務につくことが女性にも男性と同じく平等にひらかれているのか。そこで登場するのが、男女雇用機会均等法というわけだ。
医学部に入学するのは、雇用じゃないから、彼女にこれは適用できないけど、以前私の住んでいる市でも、役所の職員を試験だけで採用したら女性ばかりになってしまうから、女性の採用人数をコントロールしていると聞いたことがある。今もやっているのかな。でも入試と違って、試験結果をおしえてもらえないから、確認のすべがない。実際に試験は、男女の差別なく平等に行われているのだから。
結局、法律は、体裁を整える基準で、それを運用する側の意識まで変えることはできないということか。でも・・・昔読んだスタニフラフスキーの演技論で、身体の筋肉を動かすことで逆に精神(心)をコントロールできるとか書いてあったような。外形を整えることで、意識の改革も、進んでいけるのかもしれない。